大震災を受けて戸建て住宅の地震対策を知りたい
2012年の「東日本大震災」では、多くの被害が津波によるものと伝えられている通り、大半の家屋が地震の揺れにには耐えたものの、その後の津波で全壊してしまうという結果となりました。このため、日本の戸建て住宅に対する地震への備えは、それなりのレベルに達していることが伺えます。
ただ、千葉県浦安市など津波被害の無かった地域でも、あまり報道はされていないものの、液状化などの被害が大きく、復旧などにかなりの費用と歳月を要することが伺えます。
こちらでは、個人住宅に対する復旧費用と液状化への具体的な対策方法をご紹介いたします。
震災の復旧費用
地震によって住宅が傾いたり、傾斜地などで土地にヒビが入ったり、陥没したりすれば、それを修繕する費用はどれくらいかかるのでしょうか?
最近の住宅だと、地震で建物が壊れて修理するというよりも、地盤の弱さが原因となって傾き、修復が必要になるケースが圧倒的に多くあります。 それだけ、建物の耐震構造は進歩を遂げ、しっかりと強固なものになりました。
では、傾いた場合の修復費用ですが、再度沈下が進行するような土地であれば、その対策として基礎杭を打って地盤を強化します。今後沈下が進行しないような土地であれば、修復だけを行います。
基礎杭を打たない対策方法では、建物をジャッキアップして基礎部分を修正するものがあります。(上の図参照)
方法には2種類あり、①基礎下からジャッキアップする方法、②基礎の上から建物をジャッキアップする方法があります。
①だと300~600万円、②は200~400万円の費用が必要です。完成後の見た目を気にするなら、①が良いと思われます。②の場合は修復跡が残りますので、その分費用は安くなるのです。
再度沈下する土地だと、基礎杭などで補強する必要があります。費用はどの深さまで打つかなどの地盤の状況によって変動します。
項目 | 手段 | 内容 | 金額 |
---|---|---|---|
基礎下の強化 | 基礎杭を打つ | 深さ5~15m | 100~300万円 |
地盤を改良 | 1~3m | 100~200万円 | |
石垣など ノリ面の強化 |
傾斜に アンカー工事 |
石垣などが崩れないような 本格的な工事(外科的) |
100~300万円 |
注入工事などで 地盤改良 |
地盤凝固材などを注入して 補強する工事(内科的) |
100~200万円 | |
コンクリート土止めの クラック注入 |
亀裂などに樹脂などを注入して 補強する工事(皮膚科的) |
50~100万円 |
住宅こそ液状化対策を!
阪神・淡路、鳥取県西部、芸予地震など、震災に遭った住宅の様子で、共通して言えることは、新しい住宅(建築後10年以内)は建物上部の破壊はほとんど見られませんでした。
しかし、地震によって地盤が液状化し、その上に立つ建物が、沈下被害を受けたものが多く見られました。
地震の液状化は、砂地の地下水位が高い土地で発生するもので、砂が泥水のように地表に噴出してくる現象で、今回の東日本大震災では、千葉県の浦安などに発生した現象です。
土地が、液体のようになるわけで、建物などの重い物は沈み、2階などの偏った重さのあるところにはさらに沈下が大きくなります。
たとえ建物が壊れていなくても、傾きが大きいと丸い物が転がったり、人間の平衡感覚がおかしくなるなどするので、生活には大変な障害となります。
修正するには、家の下にジャッキを20ヶ所以上も設置して、傾きを修正する工事を行います。費用は数百万円。今後は住宅こそ「液状化予防対策」の必要性があると感じているのです。
液状化対策の場合、まず液状化が起こりうる地盤であるかどうかを判別しないといけません。もし、起こりうる土地であれば、①杭を打つ、②地盤改良などで地盤を固めるという2つの方法が対処として考えられます。